VOICE1級は種々の分野を網羅的に学び直し,面白さを発見する良い契機

昨今の統計学ひいてはデータサイエンティストブームは実務的要請に呼応しているきらいがあるが,私は(いささか青臭いが)その理論的な美しさに惹かれて統計を学んできた.「期待値と分散を持つ任意の確率分布に従う確率変数列を正規化すると標準正規分布に分布収束する」この中心極限定理における,ランダム性のなかに斯くも強い主張が成立する事実に教養科目で感動して以来,私は独力で統計学の学習(主に漸近理論とベイズ統計)を進めてきた.
しかし,独学は方向性を見誤る.好奇心に駆動されて断片的に学びを進めた結果,特定分野に偏った知識体系を構築してしまったことに気づいた.そうした背景から統計を体系的かつ網羅的に学び直すことを期待して,統計検定1級を受験することに決意した.受験するとがぜん合格への執着が芽生え,学習に火がついた.そしてそのまま無事に合格というわけである.
合格を優先する余り,頻出分野に特化した学習に偏重した,という実態は正直なところ否定できない.しかし,従来興味の対象外であった頻出分野(検定論など)を学習することで気付いたことがある.それらも意外と面白いのである.特に実験計画法は数理統計論の参考書では触れられていないこともあり,以前は全く学習してこなかったが,限られたリソースでいかに効率的に多くの情報を引き出すかという知的工夫の妙味を垣間見ることができた.牛に引かれて善光寺参りである.
今まで「知的好奇心」のもと,食わず嫌いをしていたことをメタ認知した.知的好奇心は,時に探求の幅を狭くしてしまうが,統計検定1級は種々の分野を網羅的に学び直し,面白さを発見する良い契機であったと思う.

PBT方式試験

統計検定1級

「統計数理」「統計応用」

次回検定 2025年1116日(日)

CBT方式試験

統計検定準1級〜4級
調査士系・データサイエンス(DS)系